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2013年

モキュメンタリーとUFO

 ドキュメンタリー(事実)ともフィクション(架空)ともいえない作り方の映画や小説をモキュメンタリーというらしい。もちろん、このモキュメンタリーと言うのは造語で、ドキュメンタリー(事実を報道)とモック(MOCK=いんちき、まがいもの)をあわせた造語だ。しかし中には本当に起きたことを娯楽映画という手法で私たちに伝えた逆モキュメンタリーとでも言えるものがあるかもしれない。SF映画の中でそう思わせるのが、1977年に公開された「未知との遭遇」原題「CLOSE ENCOUNTER OF THE THIRD KIND」和訳=第3種接近遭遇、S・スピルバーグ監督だ。

 SF映画と言っても大きく2つに分けられると思う。1つは「スター・ウォーズ」に代表される、舞台設定が時間も空間も現実社会から大きく離れたものと、あくまで現代の地球が舞台設定になっているものだ。その点で「未知との遭遇」は明らかに後者である。聞き伝えによるとこの映画は、現実感と臨場感を高めるため、撮影はかなり”極秘のうち”に進められたらしい。私自身この映画が公開された時、まだ中学生ぐらいだったが、”それまでのSF映画をはるかに超えた映画がやってくる”と言う触れ込みを、雑誌の巻頭特集で見た記憶がある。なるほど実際に見て度肝を抜かれたのは確かである。なんと言ってもあれほど臨場感のあるUFOや異星人はそれまでにまったく体験したことがないものだった。たとえ映画と割り切って見ても、子供の頃見たテレビの「ウルトラマンシリーズ」などに出ていた異星人とは明らかに次元が違うし、(スピル監督、失礼)同じスピルバーグ監督のそれ以後のSF映画、たとえば代表的な「ET」などと比較しても格段に「未知との遭遇」の異星人やUFOのほうがリアリティがあると思う。「ET」などもよくできているとは思うが、やはり、どこかハリボテ的な感じは否めないし、「未知との遭遇」の異星人とは比較にならない。特にラストの20分のシーンでマザーシップからたくさんの異星人が降りてくるところと、最後にリーダーとおぼしき異星人とフランシス・トリュフォー演じる、ラコームと言うフランス人科学者が手話で交流し、そのあとで異星人がマザーシップに戻っていくところなど、本物としか見えない迫真のシーンで、私などは本当の異星人が極秘裏に出演したのではないかと思ったくらいである。ハリボテ感や作り物と言う感じがまったくなく、どういう風に撮影したのか今もって不思議だ。公開されてからもう40年近い時間が経過しているが、いまだにこれ以上、リアリティのあるUFO,異星人映画を見たことがない。スピルバーグ監督は映像の魔術師と言われている人だから、これだけのものを作れたのだろうが、もしスピルバーグ監督に会えたら、この作品はどのように撮影したのか、是非、聞いてみたい。

 しかし大事なことはこの「未知との遭遇」の臨場感、リアリティのすばらしさもさることながら、この映画には他のSF映画にはない何か、特別なものを感じるからである。公開直前まで、その内容がほとんど明らかにされなかったのも、その現実感(リアリティ感)をより多くの人に自然に感じてもらうためだったのだろう。それが某国の陰謀なのか、はたまた観客をたくさん呼ぶための映画会社の作戦と言えなくもないが?
 ところで1990年頃、米国でアクエリアス計画と言うUFOに関する計画の秘密文書が非公式に公開され、そのアクエリアス計画の中の1つに”シグマ計画”と言うのがあった。この計画の内容はまさに驚天動地、我々のこれまでの常識をはるかに超えるものである。UFOディレクターとして著名な矢追純一さんが1989年に書いた「MJ-12の秘密」から引用すると、”プロジェクト・シグマ” その使命は宇宙人とコンタクトを取ることにある。このプロジェクトは1959年にようやく成功を見た。1964年4月25日、アメリカ合衆国は宇宙人と初歩的なコミュニケーションをとることに成功。空軍情報部の高官が2人の宇宙人とニューメキシコの砂漠で会見した。・・・以下省略”と言う内容である。常識的にはとても信じられない。たしかにこのアクエリアス計画は非公式に公開されたもので偽情報の可能性もあるし、いつものような情報撹乱作戦の可能性も高い。映画や小説ではないが今回のテーマである”モキュメンタリー”の一種かもしれない。したがって現実にこのようなことが行われたかどうかは定かでない。しかし、この文書そのものが存在することは確かだし、ひょっとすると、この会見は本当に計画されたものだったのかもしれないことを裏付けるUFO事件が現実に起きている。このシグマ計画に書かれた1964年の4月25日のわずか1日前、4月24日に同じニューメキシコのソコロという町で起きたUFO事件史の中でもきわめて信憑性が高いと言われる”ソコロ事件”である。このソコロ事件は目撃者のロニー・ザモラ氏が信頼の置ける警官だったこと、UFO着陸痕と思える4つのくぼみが発見されていることなど、UFO学の創始者である、故J.A.ハイネック博士も直接、現地に赴き調査の結果、未確認としたほど信憑性の高い事件である。興味深いことにハイネック博士はこの「未知との遭遇」にテクニカル・アドバイザーとして参加している。(映画そのものにも出演している)UFOの着陸と異星人の目撃などと言う出来事が、ほぼ同じ地域で、しかも2日続いて起きる確率は限りなく低いだろう。したがってこのソコロ事件は異星人と米国政府の意思の疎通の不徹底によりおきたことだったのかもしれない。ソコロ事件は現実に起きた可能性が高い。そのことから考えると、異星人と米国政府が会見する計画が現実にあったのかもしれない。

 異星人と人類との会見・遭遇と言う、もし現実に起きれば人類の歴史上、最も重要で画期的な出来事が1965年の4月頃にひょっとすると計画されていたのかもしれない。しかしそれがたとえ実現したとしても、おいそれとそれを公表するわけには行かない。そこでSF映画と言う間接的な手法でそのことを我々に示そうとしたのかもしれない。撮影が超極秘に進められたのも、リアリティ感を高めるだけでなく一般大衆に先入観を与えないための作戦とも考えられる。やや、うがった見方だが、いずれにせよ近い将来このようなことが起きる可能性はある。それは明日、あさっての問題でなくとも、その時の心構えを作ると言う点でこの映画のはたした功績は多きいとおもう。あの映画以来、それまで異星人は侵略者、インベーダー(侵略者)と描いていた多くのSF映画や小説の概念を壊し、異星人はすべて侵略者ではなく、友人になれるかもという気持ちを一般大衆の中に引き起こした。(全面的に安心するのもどうかと思うが)当局やある国家などが常識を覆すような、とてつもない情報を我々に示す時は公式、非公式、うそ、ホントまたはドキュメンタリー、フィクション、そしてモキュメンタリーなど、いろいろな方法で複合的にからめて示していくものなのだろう。まさしくUFO情報のように一筋縄ではいかないのである。

軍事利用に傾く日本の宇宙開発

2009年の6月に決定された「宇宙基本計画」をご存知だろうか?仰々しい名前から想像するに米国やNASAの計画ではないかと思いがちだが、まさしく日本の宇宙計画だ。 計画案には二足歩行ロボットによる月面探査など、夢のある計画もある。問題なのは軍事面でのアプローチを重視している点である。日本にはかって宇宙に関連した国家機関が3つ存在していた。それは①宇宙開発事業団②宇宙科学研究所③航空宇宙技術研究所の3つである。それぞれの機関に微妙な違いがあるのだが、基本的に①は気象や通信などの実用衛星を②は惑星などを観測する科学衛星を③はロケットや航空機などの飛翔体の研究をというように。しかし同じような機関が3つもあるのは問題だと言うことで、行政改革のあおりもあり独立行政法人(JAXA)に統合されたのが2003年である。そのJAXAのJAXA法には宇宙開発は「平和目的に限り」と言う平和規定があった。これは1969年に衆参両院で可決された国会決議に基づき日本の宇宙開発は「平和目的に限る」ということが根本にあるからだ。ところがこの国会決議さえ2008年に成立した”宇宙基本法”で骨抜きにされようとしている。この宇宙基本法では従来の日本の宇宙開発の国是である「平和目的に限る」と言う条項が消され、変わりに「わが国の安全保障に資する宇宙開発利用を推進」と言う条項が書き込まれた。このことにより、JAXAの平和規定もより上位の法律である宇宙基本法との整合性が取れなくなり、去年2012年6月、「平和の目的に限り」と言うJAXA法の規定が削除された。

このような状況下で成立した2013年度の日本の宇宙予算は総額で3218億円ほどである。調べてみると案の定、宇宙開発に閉める軍事・安全保障に関すると思われる割合が突出してきている。ザッと見てみると防衛省のXバンド衛星通信網の整備に219億円、弾道ミサイル防衛に363億円、そして最も大きな予算を占めるのが軍事スパイ衛星の608億円で宇宙関連予算3218億円のうち約19%を占める。軍事スパイ衛星・情報収集衛星はほぼ5年ごとに更新しなければならないので、とりわけ金がかかる。そしてその他もろもろのものを含めて宇宙関連予算に占める軍事・安全保障に関すると思われる予算は総額で1391億円。全体の中で43%にもなる。軍事スパイ衛星には98年の導入以来、すでに1兆円近い巨費が投入されてきた。当初の目的には大災害時の情報提供もあったはずである。それにもかかわらず、東日本大震災や、福島第1原発の情報も「安全保障」を盾に非公開のままである。なし崩し的な宇宙の軍事利用に歯止めをかけて、従来の平和主義の宇宙開発に戻したい。